少子高齢化で年金はつぶれる!ヤバイ!と聞いたことはありませんか?
でもちょっと待って。
その話の前提、本当に正しいですか?
「少子高齢化で年金はつぶれる」は前提が少しおかしい
「少子高齢化で年金はつぶれる」という話。
これは1980年ごろには20歳~64歳の人6.6人で65歳以上の人1人を支えていたのが2040年には1.4人で1人を支える構造になるからヤバイ!
という話に基づいています。
一見まともな前提に見えますが、これ、少しおかしいんです。
年金の構造
年金は現役世代が高齢者世代を支える構造なのは皆さんご存知の通り。
そこは間違っていません。
なので「6.6人で支えていたのが1.4人で支えることになる!ヤバイ!」という話は正しいように見えます。
でも以下の点でこの話の前提は少し間違っています。
年金について間違って認識されていること
年金について間違っていること、それは以下のふたつの前提が間違っているということです。
年金について間違っていること
1.20歳~64歳が全て就業しているわけではない
2.65歳以上が皆働いていないわけではない
20歳~64歳が全て就業しているわけではない
20歳から64歳の人が高齢者を支えると言っても、そもそも20歳~64歳の人が全て仕事をしているわけではありません。
20歳~64歳の中には失業者や学生がいますよね。
彼らは働いていませんから、そもそも高齢者を支える人数に入れるのはナンセンスです。
65歳以上が皆働いていないわけではない
65歳以上の人が皆働いていないというのもおかしいです。
65歳以上でもバリバリ働く経営者や医師などの自営業者を想像すればわかりますが、彼らは仕事をしているので支えてもらう側ではありません。
そして彼らは経済的に多くの税金を納めていることが多いです。
年金財政を考える上では彼らは支えてもらう側ではなく支える側なのです。
大事なのは就業者と非就業者の数
ここまで見てくださった方はお分かりかと思いますが、年金を考える上で大事なのは年齢で区分することではなく、就業者か非就業者かということなのです。
就業者と非就業者の割合こそ、一番重要な指標になるということです。
わかりやすい図があります
ここで、わかりやすい図を紹介したいと思います。
「1人の就業者での何人の非就業者を支える必要があるのか」を図にしたものです。
金融庁のサイトにある「人生100年時代の年金と資産運用戦略」と題されたPDF(作:田村正之)の5ページ目です。
https://www.fsa.go.jp/policy/nisa/20170614-2/85.pdf
同じ図をさらにわかりやすくしてくださったのがテレビ東京で放映された日経の「マネーのまなび」です。
年金財政はさほど危機的状況ではない
先ほどの図を見れば一目瞭然。
1980年に就業者1人で非就業者1.1人を支えていたのが、2040年でも同様に就業者1人で非就業者1.1人を支えることになる、と算出されています。
年金財政的に、1980年と2040年では状況は大して変わらないということになります。
つまり、少子高齢化によって急激に年金財政が悪化するわけではないことがわかります。
もちろん、日本全体の人口減少による経済の悪化はあり得ます。
それは年金問題と一旦は切り離して考えてからあとで日本全体の経済と年金のかかわりについて考える必要がありますね。
年金不安をあおる業者などに注意!
「年金が破綻する!」と不安をあおっておかしな金融商品を売りつけてくる業者などには細心の注意が必要です。
もし、年金についてその業者が誤った情報を伝えてきたら、今回の情報をもとに「いやいや、少子高齢化は年金財政にはたいして影響ないんだよ」と言い返すこともできますね。
間違った前提の情報に踊らされることなく、論理的に考えられるよう、情報を精査することが重要です。
ぜひ正しい知識を身に着けて「知識武装」していきましょう!
コメント