野村総研による「お金持ちピラミッド最新版」が2025年2月13日に発表されました。
「お金持ちピラミッド」(富裕層ピラミッドとも言われています)は、お金持ち世帯がどのくらいの割合で存在しているかを野村総研が推計した資料で、2年に1度発表されます。
この資料からは「お金持ちに関する情報」がたくさん読み取れますので、お金持ちになりたい方々にとっては「バイブル」のような存在です。
今回はそんな「お金持ちピラミッド最新版」を解析し、皆さんが知りたい情報をお届けできればと思います!
お金持ちピラミッドとは
「お金持ちピラミッド」とは、最初に述べたように「お金持ち世帯がどのくらいの割合で存在しているか」を野村総研*が推計し発表している資料で「純金融資産保有額の階層別にみた保有資産規模と世帯数」が正式名称です。
*野村総研:野村総合研究所(NRI)
資料は以下で一般に公開されています。
https://www.nri.com/jp/news/newsrelease/files/900037282.pdf
「お金持ちピラミッド」は資産形成を目指す方々の中ではかなり有名ですのでご存じだとはと思いますが、資産形成のモチベーションを高めるのにうってつけの資料ですので、漠然と眺めて「ふ~ん、そうなんだ~」と軽く流してしまうのはもったいないです。
資料を見て日本の家庭の資産状況などについて知り「よーし、富裕層になるぞー!」などと資産形成モチベーションを上げ、いっしょに資産をじゃんじゃん増やしていきましょう!
なお、野村総研は「お金持ちピラミッド」という名称は使っていません。
一般の人がそう呼び始めたのか、野村総研内でそもそもそう呼ばれていたのかは不明ですが、「お金持ちピラミッド」や「富裕層ピラミッド」として一般的にここまで浸透しているのはすごいですね!
お金持ちピラミッド資料の中身
お金持ちピラミッドの資料では、日本の世帯を純金融資産保有額別に5つの階層にわけ、わかりやすいピラミッド図にしています。

5つの階層は以下のようになっています。
お金持ちピラミッド5つの階層
超富裕層(純金融資産5億円以上)
富裕層(純金融資産 1億円以上5億円未満)
準富裕層(純金融資産 5,000万円以上1億円未満)
アッパーマス層(純金融資産 3,000万円以上5,000万円未満)
マス層(純金融資産 3,000万円未満)
お金持ちピラミッドの資料を見るときの注意点
お金持ちピラミッドの資料を見るにあたってはいくつか注意点があります。
まず、お金持ちピラミッドでの「純金融資産」というのは、預貯金・株式・債券・投資信託・生命保険・年金保険などの金融資産の合計から、不動産購入費用の借り入れなどの負債を差し引いたものです。
不動産は金融資産ではありませんので、豪邸を持っていたとしてもその豪邸の評価額などは金融資産の額に入っていないことに注意が必要です。
それから、お金持ちピラミッドは個人資産についてのデータではなく世帯ごとのデータになっていることも忘れてはいけません。(「この人はこれくらい持っている」ではなく「この家庭の資産はこのくらい」というデータであることに注意)
さらに、このデータは野村総研が様々な調査結果などを分析・解析して独自に推計して発表しているものですので、実際に各家庭を調査した集計結果ではない点にも注意です。
そして、膨大な調査結果等を分析・解析する都合と、参考にするデータの発表がそもそも数年に1度などのものが多いためか、お金持ちピラミッドの発表は2年に1度しか発表されません。
また、元データから見ると調査結果が出るのは2年遅れになっています。
(最新の2025年2月発表の資料も2023年時点で判明している調査結果等をもとに作成されているようです)
最後の注意点として、そもそもお金持ちピラミッドの資料は一般の人が参考にするためのものではなく、金融機関向けの資料だということがあげられます。
なので一般人の私たちが見て「すごくおもしろい!」というものではなく、少々味気ない感じはあります。
ただ、最初の方で述べたように資産形成のモチベーションをあげたりするのに使わないともったいないです。
何事も「使い方しだい」ということですよね!
お金持ちピラミッドの資料を見るときの注意点
・純金融資産とは金融資産から負債を引いたもの
・金融資産には不動産は含まれない
・データは世帯ごとの純金融資産についてのもので、個人資産ではない
・あくまで野村総研が算出した推計値になっており、実際の集計結果ではない
・資料は2年に1度しか発表されない
・発表より約2年前のデータをもとに分析・解析された結果になっている
・そもそも一般に向けた資料ではなく、金融機関向けの資料のためか、味気ない
お金持ちピラミッド資料からわかること
ではお金持ちピラミッド資料をくわしく見ていきましょう。
まず、お金持ちピラミッドの各階層の割合を計算して表にすると以下のようになります。

この表からまずわかるのは「マス層」が圧倒的に多く、割合としては全体の79.4%で、ほぼ8割ということ。
8割というと5世帯のうち4世帯ですので、多くの世帯がこの層に入ります。
マス層は純金融資産3,000万円未満の層ですから、まぁ当然と言えば当然の結果でしょうか。
実際みなさんの周りを見ても3,000万円以上の金融資産を持っている家庭というのは珍しく、ほとんどの家庭が金融資産3,000万円未満なのではないでしょうか?
「物価が上がって生活がカツカツ」とか「貯金できない!」とかよく聞きますもんね。
(日本で資産の話を本音ですることは少ないので「貯金なんてないわ~!」と言っていても実際どうなのかはわかりませんが…)
また、マス層の割合が79.4%なのに対して、超富裕層はたった0.2%しかないというのも注目ポイントです。
5億円以上の純金融資産がある超富裕層世帯に入るのは無理としても、そういう世帯と知り合いにくらいはなりたいと思っていたのですが、超富裕層は500世帯に1世帯しかないのですね…。
知り合いになれたら超超超ラッキーですね!
「超富裕層と知り合いになりたい」という私の願望は横に置いておいて、次は準富裕層以上の層について見ていきましょう。
「準富裕層」と言えば、最近は「準富裕層になりたい!」と思っている人が多いと聞きます。
これは、Youtubeでわりと有名なリベ大の両学長の影響もわりとありそうです。
(両学長は学んで行動すれば誰でも準富裕層の「小金持ち」になれるから、まずは「小金持ち」をみんなで目指そう!というスタンスなんですね)
そんな準富裕層以上の層には準富裕層のほかに富裕層・超富裕層も入ります。
そこで、超富裕層・富裕層・準富裕層の世帯数を合計すると全体の約10%が準富裕層以上ということなります。
10世帯に1世帯が準富裕層以上の世帯、つまり純金融資産を5,000万円以上持っているということです。
これなら「準富裕層以上を目指す!」というのはわりと現実的な目標のような気がしますがいかがでしょうか?
ちなみに私は欲張りなので目標は富裕層以上です(笑)
みなさんはどの層を目標にされていますか?
お金持ちピラミッド資料の中身:2005年からの推移
野村総研によるお金持ちピラミッドの発表は2005年から始まったようで、資料には2005年度からの推移の表も添付されています。

この表を見ると超富裕層・富裕層の世帯数が右肩上がりに増加しているように見える一方で、アッパーマス層・マス層はさほど増えていないということが読み取れると思います。
2023年のマス層の世帯数は増えているように見えるかもしれませんが、これは以前にその上のアッパーマス層だった世帯の資産がコロナ禍などを経て減少し3,000万円を切ってしまったためと思われます。
つまり、アッパーマス層とマス層の間で移動があっただけで、アッパーマス層とマス層の合計世帯数的には横ばい傾向にあるということです。
参考までに、超富裕層・富裕層の合計世帯数とアッパーマス層・マス層の合計世帯数の推移をそれぞれグラフにしてみました。


グラフにしてみると一目瞭然。
超富裕層と富裕層の合計世帯数はグングン伸びているのに対してアッパーマス層とマス層の合計世帯数はほとんど増えていません。
増加率で考えると超富裕層・富裕層は2005年から2023年で倍くらいに増えていますよね!
お金持ちピラミッドの推移をもう少し解説
野村総研の資料中の「表1」をもとにもう少し解説していこうと思います。
1億以上持っている「お金持ち」の家庭の子はクラスに1人はいる!?
データをもとに、超富裕層と富裕層の保持する純金融資産額(兆円)の合計と超富裕層と富裕層の合計世帯数を算出しそれぞれ合計純資産額と合計世帯数に占める割合を求めてみました。
作成した「超富裕層と富裕層の純金融資産・世帯数合計が全体に占める割合の推移」の表がこちらです。(補足「合計純金融資産」はすべての層の純金融資産額の合計、「合計世帯数」はすべての層の世帯数の合計)

この表から、日本全体に占める超富裕層と富裕層の割合の変化や、超富裕層と富裕層の合計資産が全体の資産のうちどれくらいを占めるのかがわかります。
まず、超富裕層と富裕層の世帯数を合計した世帯数の割合について見ると、2005年は全体の世帯の1.8%だったのが、2023年には3.0%に増加しています。
つまり、超富裕層や富裕層のいわゆる「お金持ち」の割合が増えているということです。
1.8%が3.0%になったということは、今の小学生で言えば2クラス(70人)集めればその中の1人はお金持ちの家の子という感じだったのが1クラス(35人)に1人はお金持ちの家の子がいるという感じでしょうか?
(厳密には全く違いますが、あくまでふんわりと雰囲気をつかむために例として考えてみただけですのであまり深くつっこまないでくださいな)
よく「日本はどんどん貧しくなっていってる」とか「貧乏な人が増えた」と言いますが、貧しいと感じる人が増えている一方で、お金持ちの割合は増えているのが実態のようです。
たった3%の人が全体の26.1%の資産を保有
また、純金融資産の額に注目すると、2005年は全体の金融資産の18.5%の資産を「お金持ち」が持っていて、2023年になるとその割合が増えて全体の金融資産の26.1%を「お金持ち」が持っていることがわかります。
2005年はお金持ちの層が全体の5分の1弱の資産を保有、2023年には全体の4分の1以上の資産を保有している、ということです。
2023年に注目して純金融資産と世帯数の割合をからめて考えると「全体の3%しかない世帯が全資産の4分の1も保有している」ということになりますね。
各階層の平均保有額は?
次にお金持ちピラミッドの各階層について1世帯ごとの平均保有額を見ていきたいと思います。
これを見ることで5つの階層それぞれの世帯が大体平均してこれくらいの金融資産を持っているという目安がわかります。
その前に、念のためお金持ちピラミッドの5つの階層についてもう一度おさらいしておきますね。
お金持ちピラミッド5つの階層
超富裕層(純金融資産5億円以上)
富裕層(純金融資産 1億円以上5億円未満)
準富裕層(純金融資産 5,000万円以上1億円未満)
アッパーマス層(純金融資産 3,000万円以上5,000万円未満)
マス層(純金融資産 3,000万円未満)
それでは以下に「お金持ちピラミッド各階層の1世帯ごとの平均保有額」の表を上げます。

超富裕層の資産額については青天井なので何千億円も持っている富豪世帯もありますし、平均額を見るのはあまり意味がないかもしれません。
富裕層は平均して2億1千万円、準富裕層は8,200万円の純金融資産を持っています。
小金持ちとよばれる準富裕層で平均8,200万円というのは思っていたより多いなという気がします。
アッパーマス層の平均保有額は4,800万円。
これくらい資産があると生活に経済的不安を感じることは少なくなり「老後もとりあえず安心」と思う人も多いようです。
5,000万円を超えると準富裕層になりますから、アッパーマス層は遅かれ早かれ準富裕層になる可能性が高い世帯が多いのかもしれません。
資産形成にしっかり取り組み準富裕層以上に到達した人々の間では「マス層からアッパーマス層になるのは大変だったけど、それからアッパーマス層を卒業して準富裕層になるのは意外とかんたんだった」という声がわりと聞かれます。
「まずはアッパーマス層を目指して資産形成していたら、気が付いたときには準富裕層になっていた」なんて夢がありますね!
最後にマス層ですが、平均保有額は1,600万円です。
平均保有額1,600万円ってどう感じましたか?
「えっ!一番下の層でもそんなに持ってるの!?」とおどろく人も多いかもしれません。
マス層の平均保有額に関しては「平均のトリック」が強く働きどうしても高額に出てしまっているようなのであまり気にする必要はないかな、と思います。
なお、「平均値」はデータの合計を単純にデータの個数で割って得られる値なので、データを大きさの順に並べたときに真ん中に位置する値である「中央値」に比べ実際の感覚からずれることが多いです。
(「平均値」「中央値」に関してはここではくわしくふれませんが、興味のある方はこちらの資料などを参考にしていただけるといいかもしれません)
お金持ちピラミッド【まとめ】
今回発表されたお金持ちピラミッドを見ると、日本国内では経済格差がどんどん開きつつあることがわかります。
お金持ちはますますお金持ちに、貧乏だとますます貧乏に…。
というのは残酷な現実のようにも見えます。
でもきちんと「お金の勉強」をして対策すれば、わりとすんなりと金融資産5,000万円以上の準富裕層にはなれるというのも事実です。
お金持ちピラミッドの資料を見て
「おー、こんなにお金持っている人がいるんだー!」とか「これくらいなら私にもなんとかできそう」「うちはまだまだ資産が足りないな…」など、いろいろな感想を持たれたと思います。
その感想をただの感想に終わらせず、資産形成に向けて目標を立て今の自分にできることを少しずつでも着実に実行していけば、経済的に裕福な未来はつかめると思います。
そのために当ブログ「節約・貯蓄バイブル」をおおいに利用してください。
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皆でいっしょにお金持ちになって、みんなが将来気持ちに余裕を持った生活ができるようにしたいと思っています。
将来お金に不自由しない生活が送れるかどうかは今日からのあなたの行動しだいです!
いっしょに資産形成していこうではありませんか!
あなたが目指す層はどこなのか、ぜひコメントしていってくださいね。
もちろん、疑問・質問・記事の誤りの指摘なども大歓迎です!
【参考記事の案内】
「資産形成に向けて何からはじめたらいいかわからない」という方には「お金の達人への道【かしこいお金の使い方のコツ】」記事などもおすすめです!
ぜひ参考にしてみてくださいね!
「お金持ちはますますお金持ちに、貧乏だとますます貧乏に」という残酷な現実がある一方で「お金の勉強」をして対策すれば、金融資産5,000万円以上の準富裕層にはなれるという事実がある
将来お金に不自由しない生活が送れるかどうかは今日からのあなたの行動しだい!
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