eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)とeMAXIS Slim米国株式(S&P500)。
どちらも大人気の投資信託で、どちらを買うか迷われた方も多いと聞きます。
そんなふたつの投資信託には大差がなさそうに思っていたのですが、下げ相場に対する反応に明確な差がありました。
今回はその差についてどんな差があったのか、そしてなぜその差が生まれたのか書いていきたいと思います。
ふたつの投資信託の明確な差を発見
Yahoo!のサービスのひとつ、Yahoo!ファイナンスには、たくさんの株や投信などについて「掲示板」があります。
そして、もちろんeMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)とeMAXIS Slim米国株式(S&P500)についての掲示板もあります。
掲示板自体はあおりやら見るに堪えない発言やらあるので見なくてもいいです。
私もふだんはあまり見ません。
ただ、2024年7月23日にたまたま見てみたところ「あれ?両者にこんな差があるの!?」というおもしろい発見があったので皆さまにシェアしたいと思い、今回の記事にすることにしました。
おもしろい発見の概要
それではさっそく「おもしろい発見」の概要を見ていきましょう。
そのおもしろい発見をしたのは、2024年7月23日午前中時点の「eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)」と「eMAXIS Slim米国株式(S&P500)」の掲示板「みんなの評価」部分です。
まずはその部分の画面キャプチャから見てください。
同じ日に撮ったスクリーンショットになってます。
eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)
eMAXIS Slim米国株式(S&P500)
「みんなの評価」というのは、その銘柄などについて今現在「買いたい」か「売りたい」かのみんなの意見を集計しパーセントで表したものです。
見てみてどうでしょうか?
eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)は「売り」と「買い」が約半々なのに対し、eMAXIS Slim米国株式(S&P500)は「買い」があきらかに優勢です。
これを見てどう思われますか?
私は「両者の購入層の違いを明確に表していてめちゃくちゃおもしろい!」と感じました。
以下でくわしくお話ししていきますね。
2024年7月23日はどんな日?
2024年7月23日は、同年7月11日に記録した当時の最高値からガクンと下がり、ずいぶん安くなった日です。
(どちらの銘柄も同じことが言えます)
そんな日に「『みんなの評価』がどうなっているのかな?」と知りたくなって、掲示板をのぞいてみました。
そしたら上で挙げたスクショのように、明確に差があったんです。
NISAで人気の両銘柄
投資信託のeMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)(以下「オルカン」と呼びます)とeMAXIS Slim米国株式(S&P500)(以下「S&P500」と呼びます)は特にNISAで人気の2大投資信託と言っていいと思います。
NISAなどを始めるにあたってどちらにするかで迷われた方も多いようで、いまだにYoutubeなどで「eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)とeMAXIS Slim米国株式(S&P500)どちらがいいのか?」的な動画が散見されます。
そしてそのような動画は再生数も割と多いようです。
皆さんの関心の高さがうかがえますよね!
各投資信託を購入するそもそもの理由
ではなぜ両投資信託が人気なのでしょうか?
各投資信託を購入するそもそもの理由を考えてみます。
それは基本的に「『世界(または米国)が今後も経済的に成長していく』ということに期待」し、そこに自分の資産を投資して「その『経済成長』に乗っかりたい」と思ったからですよね?
(理由がほかにある方いらっしゃったらぜひコメントで教えてくださるとうれしいです!)
もし世界や米国が今後経済的衰退期に入ると予想するなら、そこに投資するうまみは全くありません。
経済成長はジグザクしながら右肩上がり
世界や米国の経済が成長していくといっても、スパーン!ときれいに右肩上がりに成長していくわけではなく、当然ジグザグと上げ下げを繰り返しながら長期的には成長していくとみるのが自然です。
オルカンやS&P500は世界や米国の株式に広く分散投資するものなので、世界(または米国)の経済成長に連動して上げ下げしつつも長期的に見れば右肩上がりのはずというわけですね。
ここで大事なのは「上げ下げしつつも長期的に見れば右肩上がり」ということですよね。
「長期保有が原則」なのは同じ
両投資信託の構成銘柄は多少違えど、どちらも経済成長にかけるので「長期保有が原則」なのは同じですよね。
どちらも優良な投資信託なので長期で持っていればほぼ確実にプラスになるはず。
7月23日の時点では両投資信託の基準価額が下がっていますが「長期保有の原則」からはそのまま保持するべきだと思われます。
(余裕資金があれば追加購入するのも手)
どちらの投資信託にしても同じことが言えるはずです。
なのに、7月23日の「みんなの評価」はどうしてこうもハッキリ傾向に違いが見られ、オルカンの方は「売り」と「買い」が約半々でS&P500の方は「買い」が圧倒的優勢なのでしょうか?
それは、両投資信託の購入層(興味を持っている層)に違いがあるからではないでしょうか?
購入層の違い
両投資信託の購入層(興味を持っている層)に違いがあるというのは意外かもしれません。
両投資信託は似たような性質を持っていますし、どちらを購入するか迷いに迷って「どちらも半々ずつ購入」という選択をする人もいるくらいですしね。
でもここではあえて「両者の購入層には違いがある!」と断言したいと思います。
では両者の購入層についてくわしく見ていきましょう。
オルカン購入層
オルカン購入者の中には「S&P500と迷ったけれどやっぱりオルカンにした」という人も一定数いらっしゃいます。
でも、圧倒的大多数のオルカン購入層は「NISA等を始めるにあたって何を買ったらいいかわからないから、あちこちでオススメされているオルカンを買った」という人なのではないでしょうか?
ネット上での意見を見る限り、特に最近投資を始めた人の多くは「とりあえずオルカン」なんですよね。
サンプル数の少ない話で恐縮ですが、実際私の周りで新NISAで投資を始めた人も「何かわからないからとりあえずオルカン」という人ばかりです。
統計を見てみるとSBI証券のつみたてNISA(積立)ランキングでも1位はオルカンです。
オルカンは新NISAから始める投資初心者にはかなり人気なのですね。
S&P500購入層
S&P500はアメリカの経済成長に期待し「今後15年程度はアメリカが一番強い」と信じた人が購入する投資信託。
オルカンが全世界に広く分散されているのに対し、S&P500はアメリカ一点がけというわけです。
(オルカンの多くもアメリカ株投資ですが…)
S&P500もNISAで人気なのは確かですが、ランキングではたいてい2位です。
そして、ネット上で最近NISAを始めた人の中でS&P500を購入した人は予想より少な目の印象。
(主観ですみません)
そんなS&P500の購入層は「ちょっとだけ変わり者」とか「投資を始めるにあたって少し勉強した」という人が多いのでは?
特に少し勉強したというのがミソで、オルカン購入層に「とりあえずオルカン」派が多くいらっしゃるのに対し、「迷ったあげくS&P500」派が多いんです。
(ネット上の意見を見る限り)
どちらがかしこい選択という優劣はない
一応ことわっておきますが「オルカン購入層はろくに勉強もしないバカだ!」と言いたいのではありません。
両者の違いは投資に対するスタンスの違いなんだと思っています。
投資を始めるにあたって「めんどうだけどやった方がいいらしいからやろう。でも投資に時間をさきたくないからてっとり早くおすすめされているやつを買おう」というスタンスと「どうせ投資するからには損したくないし、しっかり調べてから納得できるものを買おう」というスタンス。
前者はタイパ重視派や自分の時間重視派に多く、後者は慎重派に多いという感じです。
一度しかない人生なので、自分時間を大切にしてめんどうな選択に関してはちゃちゃっと簡単に済ませるのも大いにアリだと思いますし、「納得できないと前に進めない」という人の気持ちもわかります。
購入層の違いがそのまま今回の反応の違いに
2024年7月23日の「みんなの評価」の差はまさに両投資信託の購入層の違い(=投資スタンスの違い)によるものですよね。
「とりあえず」でオルカンを購入してしまった人たちは、そもそも「長期保有の原則」のことを知らないかそこまで深く考えていなかったところがあって、今回のような下落相場で「やばい!売らないと!」となったものと思われます。
それに対しS&P500購入層の多くはオルカン購入層の多くより投資の勉強をほんの少しだけ多めにしていて「長期保有の原則」を頭にしっかりインストールしている割合が高いので今回の下落相場で「売りたい」と思うことは少ないはず。
また「基準価額が下がったときこそ絶好の『買い』のチャンス」ととらえる考え方もほんの少し多めに勉強した人の割合が高いS&P500購入層の人たちの方で多くなる傾向があるのは納得ですよね。
いま売るのはNG
今回のような下落相場では「長期保有の原則」をしっかり守ってホールドし、売らないのが正解ではないかと思います。
売ろうとする人は「とりあえずここで売って利益確定しておいてまた安くなった頃合いを見計らって買えばいい」と思うかもしれませんが、ここで売ってしまうと次に買うタイミングを逃してしまう可能性が高いです。
世界や米国が経済成長していくという前提で投資をしている以上、将来の基準価額は現在の基準価額よりも高いはず。
となると今より安い価額の日は一生来ないので一生買えないということになるからです。
もちろん、将来のことは誰にもわからないので将来の基準価額が今より下がる可能性はありますが、もしそう予想するならそもそもその投資自体する意味がないわけですから、もう一度買うという機会はやっぱり永遠に来ないことになりますよね。
結局、今売るということは投資をやめるということにほかならないと思います。
もちろん、それでいいならかまいません。
でも「いまは売る」と判断している人の多くはこれからも投資を続けたいと思いながら「いまは売る」という判断をしているのだと思われます。
もしこれからも投資を続けたいのだったら売らずにホールドしておくのが一番です。
こうやって見てくると、両者のどちらを買うかよりも、いずれかを買って「どう保有するのか」の方が重要なのかもしれませんね。
まとめ
eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)とeMAXIS Slim米国株式(S&P500)は似たような投資信託なのに同じ出来事に対してこんなに反応が違うのはおもしろいなと思い、記事にしてみましたがいかがでしたか?
新NISAが始まってからどちらの投資信託も絶好調でアゲアゲの雰囲気がありましたよね。
このままいつまでも右肩上がりなのではないかと期待してしまうくらい絶好調でした。
なので今回の下落相場で「やばいかも?」と弱気になってしまった人の気持ちはよくわかります。
ただ、今回のような下げ相場では「長期保有の原則」をしっかり守ってホールドし、市場から退場することなく投資のうまみを受け取らなければ損です。
一緒に将来の資産を増やしていこうではありませんか!
ご意見・お叱り、なんでもぜひコメントしていってください。
必ず返信いたします!
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